愛とは何か・・・ 『弓』 （★★★★☆）

キム・ギドク監督の「弓」をＤＶＤ鑑賞。

海上に浮かぶ古びた船で暮らす老人と少女。少女は7歳のときに老人に連れてこられて10年間海の上で暮らしている。時に釣り船として釣り客を迎える彼らだが、胡弓をかなで、客の求めに応じて弓占いをして生計を立てていた。そして少女が17歳になったら、結婚するといって、かいがいしく用意を整えてゆく老人がいた。2人の間にはある種の愛情か信頼感があるようだった。
まもなく誕生日になるというある日、釣りに訪れた青年の登場で2人の関係に変化が訪れる。青年は少女を連れ出そうと小船で脱出しようとするのだが・・・・

キム・ギドクというと暗くわかりにくいというイメージなのだが、今回は美しい映像で、表面的なストーリーも明快だ。少女（ハン・ヨルム）の美しさ、可憐さが画面を引き締める。老人と処女にはまったくせりふがないのだが、言葉はいらない緊張感のあるシーンが続く。

老人が悟ったように海に入っていったとき、放たれた矢が少女に向かって降ってくる。この矢は老人の性を象徴しているのだろうか？監督の微妙な立場をものがたるようだ。