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『君に舞い降りる・・・』 [白鳥(文芸)]

昨日、本屋で見つけた雑誌、デアゴスティーニ・ジャパンの『週刊 地球の鉱物』、いよいよここまで来たか!毎週鉱物の標本が付いてくるんですね。創刊号はアメジスト。

この雑誌を見て、思い出したのが少し前に読んだ『君に舞い降りる白』(関口尚)。この作家の作品は以前に『プリズムの夏』というのを読んだことがありましたが、すっかり忘れていました。
集英社文庫
まあ、やまびこ氏が昔住んでいた、盛岡を舞台にした小説だったので読んでみたわけではあります。内容は盛岡の大学に通う学生、桜井(主人公)の、アルバイト先の佐川ミネラルという鉱石ショップで、出会った美しい少女雪衣(ゆきい)との恋愛を中心に、もと彼女、アルバイト仲間、先輩、社長たちとのエピソードを明らかにしてゆくものです。各章を象徴する鉱物の名前を章ごとにつけているわけです。
はっきりいてかなりドロドロのはなしです。盛岡あたりで、こんな鉱物ショップが成り立つのか、ましてアルバイトを3人も4人も雇うほどの盛業というという設定の甘さも気になったわけですが・・・。
ところが、読み終わっての清涼感、これは一体何なんだ。社長との信頼感の回復を通して、かかわる人たちとの人間関係を再構築することができた、この安心感がさわやかさを与えているようです。この小説もともとは違う題名だったのを単行本化に当たって『君に舞い降りる白』と改題したというエピソードがあとがきにのっていましたが、普通なら『君に舞い降りる雪』としてしまうところ、『白』としたところが、作家の真骨頂であろうと思うのです。


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