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『誰も知らない 世界と日本のまちがい』 (松岡正剛著) [白鳥(文芸)]

松岡正剛著『誰も知らない 世界と日本のまちがい』

前作『17歳のための世界と日本の見方』で、古代から中世までの歴史と宗教の見方をあらわした著者が、エリザベス女王から新自由主義までの近代、現代史を取り上げている。著者の松岡正剛さんは、雑誌編集者をへて帝塚山学院大学で教鞭をとり、「編集工学」を確立した方として知られている。『17歳・・・』は帝塚山での講義をベースに編集されていたが、本書も講義の体裁を踏襲している。

ネーションステート、国家の定義からスタートし、エリザベス女王に始まる近代国家の出発、近世日本と中国、東アジアとの関係、欧米列強のアジア植民地化、日本の開国と話は進んでゆきます。始まりのところで、エリザベス女王(1世)と織田信長は1つ違い。イワン雷帝とアクバル帝も同年代という話は、な~るほどとひざを打ちます。こうして歴史を理解しておけば、高校の世界史であんなに苦労しなかったのにと。
それはさておき、列強の余計なお世話政策は、どんどん拡大してゆきます。続いて、明治日本の対中国、対ロシア、対朝鮮の外交、そして2つの対戦から中東問題に議論を進め、現代史にはいって、著者の議論は新自由主義への批判に結びついています。無条件にグローバリズムを受け入れるのでなく、日本の国情に合う制度かどうか苗代で確かめることが必要なのではないかと。
サッチャー、ブッシュ、小泉・・・・以降、「自由と国家と民主主義」がワンセットで世界中を席巻していて、唯一、イスラム勢力のみがこれにこれに抗しているだけ、という状況への危機感があるのでしょう。
私も、健全な世界には、文化・政策をふくめ、多様性が欠かせないもののような気がします。これって、自然の多様性と同じで明確に証明することは、困難なものだと思いますが、失ってから気づいても間に合わないもの。決して博物館だけに残せばいいものではないでしょう。


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