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陸前の海風を感じて [はつかり(鉄系)]

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陸前の海風を感じて
2015.7.5 仙台東北ライン・仙石線・石巻線訪問記



都合により盛岡に宿泊した翌日、朝から仙台に向かい、
宮城県内で最近開業した地震被災線路3区間の乗車に向かいます。

まずは仙台-東北ライン。
東北本線と仙台-石巻間を結ぶ仙石線とは、かねてから何カ所かで近接・交差・並走する部分があるのですが、この部分で乗りいれたり、交点に駅を作って乗り換えができるようにはなっていませんでした。
もともと石巻線は私鉄として開通した宮城電鉄が建設したもので仙台では東北本線のホームに対して斜めに交差する地下ホームを持っていたそうです。
第2次大戦中にいわゆる戦時買収で国鉄の路線となり、仙台駅は東側の地上に新たにホームが作られ、もともとの地下ホームは仙台駅の地下通路として活用されていました。もともと電鉄ですから直流電化されており、仙山線の一部と並んで東北では数少ない電化国鉄線だったわけです。

石巻の駅はかなり長い間、小牛田から女川に向かう石巻線とは別の駅舎で、いったん改札を抜けないと乗り換えられない構造でした。80年代に石巻駅は石巻線側に統合され、仙台よりも東北新幹線開通後、仙台-榴ヶ岡間を地下に移設し、仙台駅の下をくぐってあおば通駅まで延長されました。
(といってもあおば通駅は、仙台駅の西側1ブロック行っただけの仙台市営地下鉄仙台駅に隣接した場所になっています。)

松島付近で絡み合うように走っている両者ですが、もともと東北本線は岩切から利府に向かい内陸部の丘陵地帯を抜けて、愛宕付近で現在の東北本線に入るルートで建設されました。
勾配を避けるために戦時中に松島回りの海岸ルートが建設され、昭和37には複線化が完了し利府以北の内陸ルートが廃止となりました。この海岸ルート上で、先行していた宮城電鉄と2度交差(1回は東北本線が仙石線をオーバークロス、もう1度は東北本線のトンネル上を仙石線が通過)する線形となりました。この交差部のある陸前浜田の手前、さらには東豊線の松島駅手前で両線が並行する区間があるのですが、今回の仙台東北ラインは松島駅付近の並行か所に連絡線を作って、距離の短い東北本線から石巻に向かう短絡ルートができました。

仙台駅に荷を預けた後、さっそく仙台東北ラインに乗り新設された連絡線に乗車します。

仙台駅の在来線のホーム、8:18分発の石巻行き快速列車が入ってきます。

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HYBRIDのエンブレムも誇らしげに入線する



車両はこの路線のために導入されたハイブリッドディーゼル車のHB-E210系気動車。
ハアイブリッド車両の仲間も増えてきましたが、次のJR東日本の汎用車両は電気式ディーゼルになることが決まったので、ハイブリッド車は少数派に終わってしまうかもしれません。
(その前に実施された八戸線用の入札はどうなったのかな?)

先頭車にはカメラを持った同業者が数人陣取っていましたので、スペースなしと判断し最後尾に立つこととします。何はともあれ、連絡船を観察しなくてはいけません。

きっちり席が埋まるぐらいの乗客を乗せて出発。快速列車ですから、東北本線内は塩釜のみの停車になります。なぜか岩切あたりまではのろのろ運転。

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車内はE721系類似のセミクロスシートですが、HB車ですから車内にもバッテリー設置場所がところどころに突き出しています。

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推進システムの稼働状況をリアルタイムで表示中


塩釜を過ぎると右手から海が近づき、同時に仙石線の単線の線路がより沿ってきます。


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最後尾からの写真。左手に単線の線路



いくつかのトンネルを抜けて仙石線側に陸前浜田の駅が見えると、仙石線は東北本線の足の下にもぐって西側に回り込みます。本線は長いトンネルを走りこれを抜けると再び仙石線が東側に並走しているとめまぐるしく位置を変える面白いところです。有名な瑞巌寺の裏手に当たるトンネルを抜けると比較的見通しの良い平地があり、この途中に東北本線と仙石線の連絡線が作られました。このあたり、昭和53年ごろ、大きながけ崩れがあり、ED75の貨物列車が土砂に乗り上げた事故もあったところ。崩れやすい崖に囲まれています。


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東北本線から陸前浜田駅を見下ろす
この先で仙石線は東北本線をアンダークロスします


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塩釜-松島間の山間部を行く


いったん下り線上で停車し渡り線を通って上り線を横切って、連絡線に入ります。

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連絡線上でいったん停車


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画面左から仙石線が近づいてきます



4両分以上の長さの停車帯がとってあり、仙石線への合流前に再び停車。信号確認ののち仙石線に進入してゆくという段取りになっています。このため結構時間がかかっていますが、2年後をめどに信号システムの改良工事が計画されておりさらに数分の短縮ができるものと思います。
東北本線の分岐点は松島駅構内とされていて、松島-高城町間に1.3Kmの営業キロが新設されましたが、仙台東北ラインの列車は松島駅には停まらない(停まれない)ため、塩釜経由の特例が用意されています。

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合流しました


で、高城町からは仙石線を従来走っていた快速電車同様のルートで石巻に向かいますが、震災で破壊された、陸前大塚-陸前小野間は、住居地の高台移転に合わせて内陸部に移設され東名、野蒜の両駅は丘陵を切り開いた新線区間に新設されました。高城町-陸前大塚間は比較的海に近いルートのまま復旧されています。このあたりは後で訪問してみようと思っています。

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陸前富山付近は海岸に沿って走っています


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陸前大塚付近


高城町の次の陸前富山から陸前大塚の先までは完全に松島湾に面した路線となっていますが新しい防波堤が2mほどにかさ上げされています。
陸前大塚駅は仙台在住時に、時々気分転換に海を見に訪れていた場所で、以前はホームから手の届くようなところに界面がありました。夜眠れないときには、自転車で荒浜の海岸にも何回も行ったなあ。


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陸前大塚を過ぎ海岸から離れてゆきます
海岸堤防の下の砂地は元の線路敷地です


さて、陸前大塚から勾配を上って高台に入り、新たに造成された住宅用地の中に東名、さらに野蒜駅が移設開業しました。まだ住宅全然立っていませんが新しい街の顔ができたわけです。

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東名駅付近の造成地を行きます


野蒜を出て丘を下ると旧線路のルートに合流、新しい鳴瀬川橋梁(これは震災前に架け替えられたもの)を渡って陸前小野に到着。

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高城町


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陸前小野駅
子供連れのお母さんや和装のご婦人など、普段着の利用客が戻ったようです



あとは住宅と農地、航空自衛隊の基地、工場などを見ながら石巻につきます。

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石巻に到着
石巻線に乗り換えましょう


さて、4月に三脚置忘れ事件で到達できなかった2月末に再開なった女川への石巻線に乗り換えます。
浦宿を過ぎてひと山越えるともう女川です。6月からキハ110系のJR系列の気動車に置き換えられてしまいました。
女川駅は海岸近くにありましたが、震災後の復旧で、数百メートル手前の高台に新しい立派な駅舎が作られました。駅前は再開発中といった感じで、移動販売の市が立っています。


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再開された路線を通って女川に到着


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巨大な駅舎の中に温泉施設ゆぽっぽが作られました


すぐ折り返すのはもったいないので、1本見送って、駅舎内に作られた温泉施設「ゆぽっぽ」で一風呂浴びてゆきます。海まで見下ろす休憩所もひろくなかなか居心地の良い温泉です。

駅は背後の丘におそらく昔からの墓地があり、ここに上ってみると駅舎が見下ろせます。
気動車が出てゆくところを1枚。


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高台に作られた女川駅と折り返し待ちの気動車
後ろのほうに海が見下ろせます


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浦宿-女川間のトンネルに入ってゆきます



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温泉にも入ります
広い休憩室から海が見下ろせます


駅前の市で食べ物を物色しましょう。

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これ、ホヤの酒蒸し
殻ごと割って蒸してあります
熱いうちに日本酒の肴にしたらごっつ~うまそうです


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焼きホタテがうまそうです!



戻る前に、入ってくるところも記録しておきます。

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キハ110は緑の深い景色に似合います


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陸羽東線塗装の車両も入ってきます



駅前市で、焼きカキを買って乗り込みました。

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焼きがきは2個で300円とお値打ち!
小さいのでもう1個と3個入れてくれました。



石巻を経て、仙石線の陸前大塚付近の沿岸地域に向かいますが、途中石巻でランチタイムとします。
石巻駅前の撤退したスーパーの跡地に石巻市役所が入り1回は食品スーパーやパン屋が入っているのですが、その一角に地元NGOの経営するレストラン「いしのまキッチン」がありました。

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いしのまキッチンです


いしのまキッチンで生姜焼き定食をいただきました。

お姉さんが「ワタノハスマイル」という本を持ってきて見せてくれます。
震災で落ち込む石巻市渡波小学校の生徒たちと山形在住のデザイナー犬飼ともさんが震災のガレキを使って作るオブジェの写真集で、その作品の一部が店内にも展示されています。街の記憶の残るがれきを使って一歩歩き出す プロジェクトです。

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で、今度は思い出の陸前大塚に行ってみます。

きれいになった堤防が高く勝手の記憶は取り戻せませんが、海を絡めて電車を記録しておこうと思います。

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陸前大塚駅到着



この時間帯、仙台東北ラインの快速が1本抜けていて、思うほど取れませんが、石巻線の205系を撮影しておきましょう。陸前富山方面に少し進むと岬の道路沿いから線路を見下ろすことができました。


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松島湾沿いを行く205系電車


小さな花のヒメジョオンが咲いていました。

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ハイブリッド車の快速列車が駆け抜けてゆきます


松島の島々の緑がきれいです。



仙石線沿線に7月1日オープンした「うみの杜水族館」に行ってみたいと思っていたのですが、さすがに疲れた上に時間切れ。次の機会といたしましょう。仙台に戻って、帰宅いたしました。



<完>



















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コメント 6

johncomeback

地元に住む僕より遙かにお詳しい、勉強になりました。
それにしても、自転車で荒浜って遠いですね(*^^*)
by johncomeback (2015-07-28 10:10) 

あおたけ

東北仙石ラインへ行かれたのですね!
私もこの夏にでも乗り潰したいと考えていたので、
記事はとても参考になります(^^)
女川駅の様子も随分と変わってしまったのですね…。
by あおたけ (2015-07-29 18:40) 

やまびこ3


johncomebackさん
東北本線はあちこちで改良が行われていて、今でも地図を見ると利府~愛宕間には何となく線路っぽいカーブが読み取れます。愛宕-品井沼の間には古い鉄道トンネルを活用した県道のトンネルがありました。
当時は米ケ袋に住んでいましたが、荒浜までは10Kmちょっとでそんなに遠くはないですよ。夜が明けて空が白み始めるのを眺めて帰ったものです。

by やまびこ3 (2015-07-29 21:38) 

やまびこ3

あおたけさん
海沿いを走る仙石線と石巻線も楽しいです。海岸沿いや瑞巌寺裏あたりの撮影地も緑豊かでいいですね。
ぜひ女川まで足を延ばして、温泉と海のものも楽しんでくださいね。

by やまびこ3 (2015-07-29 21:43) 

ひでほ

陸前大塚は、やれ54103だ70だと何度も撮影にいきました。
いまこんなになって、交換もできるらしいじゃないですか。
びっくりです。
by ひでほ (2015-08-03 11:44) 

やまびこ3

ひでほさん
私がいたころの最初はまだ旧型国電ががんばっていました。後半は車体更新した103系モドキがほとんどだったようです。
堤防が立派過ぎて海が醜くなりましたが、そういえば交換設備ができていました。
by やまびこ3 (2015-08-03 23:10) 

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