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血は人間の欲望の象徴か   『渇き』    (★★★★☆) [あおば(映画)]

敬虔な神父だったサンヒョン(ソン・ガンホ)は日常の神への奉仕に飽き足りなさを感じたゆえか、
エマニエル研究所で行われている、全身に水泡が生じ血を吐いて最後には死に至るという
凶悪な感染症のワクチン開発の人体実験にボランティアを申し出た。
人体実験の結果、500人中ただ一人生き残り、教会に戻ってきた神父のもとには
奇跡を成し遂げた聖人を慕うかのように不治の病に貸された信者たちが集まるようになった。
しかし、回復したかのように見えたサンヒョンは、この感染症ワクチンによって、
人間の血を飲まないと症状の再発するバンパイアになってしまっていたのだ。

難病の患者たちに最後の祈りをささげに行く、教会付属の病院で、植物状態の
患者の輸血用血液をすすり、盲目の師匠の手首からも血をもらい、挙句、集まってきた
信者たちの中の自殺志願者からも血を提供されていたサンヒョンだが、だんだん、
血をほしがる頻度が高くなってくる。
こんなとき、幼馴染の友人ガンウに再会する。ガンウはがんに侵されていた。ガンウの妻テジュ
(キム・オクビン)は幼いころに実の両親を失い、ガンウの母親に引き取られて育てられ、
そのまま妻となっっていたが、妻とは名ばかりで、実のところ、家の仕事とガンウの世話をする
家政婦として家に縛り付けられ虐げられている毎日だった。ストレスがたまるとはだしで
夜毎に徘徊するテジュ。
互いに惹かれあってゆくサンヒョンとテジュ。2人が結ばれるのに時間はかからなかった。
サンヒョンが感じていたのは救いなのか、愛なのか、欲望なのか、本能なのか。
彼らの渇きを癒してくれるものはあるのか?

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当然テジュも感染症に感染し、血をほしがるようになってしまう。サンヒョンはかろうじて
人を殺して生血を確保することを自制していたが、テジュにはそんなことはできない。
ついに義母と夫を殺すことを計画するテジュ・・・・。友人たちが集まってマージャンをする日に
事件は起こるのだ。

赤い血に対するこだわり、それと分かつことのできない性への欲望、他者に必要とされる
ことへの欲望、対極なる自由への欲望、こういった人間が本能的に持っている欲望は、
渾然一体となって誰の心の中にもある。理性がそれを整理し、袋をかけ、時にはあらわにする。
どこまでそれをコントロールするか、それはあなた・私のこころしだいだ。

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