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オーストリア旅行記(その2 今日は山に登る) [やまびこ(旅日記)]

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オーストリア旅行記(その1 今日は山に登る)
世界遺産のセメリンク鉄道撮影記



6月1日(その1)

ヨーロッパに来たからには、朝食にはチーズと生ハム、サラミをたくさん食べなくてはいけません。
もう一つ、ドイツ文化圏では料理がおいしくないとよく言われるのですが、カイザーゼンメルンと呼ばれる桃の花のような丸パン。こいつを食べるためだけにでもオーストリア来たかいがあります。

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さて、”世界遺産を巡る旅”ですから、まずは世界遺産を見に行かなくてはいけません。
世界遺産はオーストリアに数多くあれど、このブログの読者なら、ピーンとくる方も多いでしょう。

そう!世界で最初の鉄道建造物の世界遺産、”セメリンク鉄道”に乗り、撮影までしてしまおうという作戦を立ててきました。
(ドイツ語読みではゼメリンクとなりそうですが、車掌さんもセメリンクと発音していましたので、文章中ではセメリンクと記すことにします。)

アルプスを越える初めての鉄道として、1854年に開通したこの線路、1998年に世界遺産に登録されましたが、さびれた山岳ローカル線ではなく、ウィーンからオーストリア第2の都市グラーツを経て、アドリア海沿岸諸都市やイタリアとを結ぶ大幹線であり、時刻表上ではオーストリアの準新幹線ともいうべきrailjetや国際列車のEC、国内特急のÖBB-Intercvityが頻繁に走る路線です。


ウィーンの南西約100Kmほどにある40Kmほどの山越え区間に向かおうとÖBB(オーストリア鉄道)のサイトで時刻を検索したところ、なぜか特急列車しか出てこなくて、普通列車が出てきません。
途中駅で区切ったりいろいろやってみた結果、どうやら5月末から6月初めの期間、峠のふもと区間であるNeunkirchen NÖ -Payerbach-Reichenau間がバス代行運行になっているらしいことがわかりました。
(不通区間の説明ページはドイツ語オンリーで解読に時間がかかった)

それではしょうがない。セメリンク駅にも特急列車が2時間おきぐらいには停車するので、これで行くことにします。
前日に様子を見に行ったMeidling駅から出発進行。


Wien Meidling(803)-〔EC151 Emona号〕-(914)Semmeling


この時間帯は、ÖBBの看板列車ではなくEuroCity151列車になります。
EC、ICにはそれぞれ名前がついていて、このEC151列車リブリヤナ行はEnoma号(意味?)という名前がついていました。1等車×2+食堂車+2等車×5両ほど。Meidlingは臨時の始発駅で、ホームに余裕のあろうはずもなく、10分ほど前に入線してすぐに出発になります。

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1144型電気機関車が牽くEC151列車



食堂車がついているなら朝食を食べなければよかったかしら。


そして、1等車に乗車。せっかくなのでコンパートメントのほうに乗ってみます。
指定のカードの入っていないコンパートメントに入ってみますと、なんとコンパートメントは4人席。


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お~!豪華な1等車?



かと思ったのですが、実はこれ1stクラスより1ランク上のビジネスクラスだったようです。
この時の車掌は見逃してくれた(何も言われなかった)のですが、後日乗った別のECでは移動しなくては行けなった・・・・。コンパートメント車両のうちの3室ほどをビジネスクラスにしているようです。
(表示は「1st・・・Business」となっていたので、よくわかりません。

Meidling駅を出て20分もすると緑のブドウ畑が広がってきます。
最初の停車駅Wiener Nuestadtを過ぎると、少し晴れ間が出てきて、遠くに雪を残した山々が見えてきました。

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山裾にたどり着くと、峠越えの基地Glognitz。
貨物用の機関車が数両つながって休んでいました。


ここからは谷筋に沿って、緩やかに昇ってゆきます。突き当たったところが、Payer-Reichbach駅。
ここから本格的な峠越えが始まりますが、駅前には、蒸気機関車が保存されていました。


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4110型に似た5動軸のタンク機


線路はここで180°ターンして尾根に取り付いて上ってゆきます。


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セメリンクのパンフレットの地図を切り抜いて貼り付けてみました。(画像クリックで拡大)
紫の線が鉄路ですが、大きくカーブを描きながら2つの谷筋を利用して上ってゆく様子がわかるでしょうか。
世界遺産を眺めながらハイキングを楽しめるBahnwonderwagという歩道が設定されていて、テツにはもってこいのコースとなっているのです。(地図上の赤線)


上りにかかると右に左にカーブしながら急こう配を上ってゆきます。
推定勾配30‰、R300ほどの幹線とは思えないような線形です。
車室の窓ガラスがスモークのものなので、後方の写真がうまく撮れませんが、石橋を渡る編成の後方を撮ってみたのがTopの写真です。

途中、地元オーストリアの撮り鉄と思われる2人組がトンネルとトンネルの間で、警戒色のジャケットを着てカメラを構えているのが見えました。今日は土曜日ですから地元のテツも撮影に来ているのですね。
あんなところに行くのは大変だろうなという崖の途中です。

ウィーンを出て1時間と少しで、峠の駅、セメリンクに到着しました。
ここで気が付いたこと。オーストリアでは鉄道は原則右側通行だと思っていたのですが、上りの区間では左側を走っていました。単線双方向の運行ができるようになっているようです。

セメリンクでは右側の線に入って本屋のホームに横付けしてくれました。



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EC151列車の機関士にお別れです



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古い気動車が保存されている駅構内



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保存されている気動車



後ろは、この線路の設計者のカール・リッター・フォン・ゲーガの業績をたたえる記念碑になっています。

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駅舎内にはインフォメーションと併設されたミニ資料館がありまして、これを見物しているうちに後続のÖIC531列車がやってきてしまいました。無人駅ではありませんが、駅員は旅客営業にはノータッチのようで、乗車券の自動販売機が1台。列車が停車、通過の時刻になるとホームに出てきて列車監視や案内をしています。

なんとこの列車が、重連の機関車牽引でやってきました。

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セメリンクトンネルに入ってゆく長い編成のÖIC531列車


後部に車運車も連結した編成でした。


列車密度は高く、ちょっとの間にも特急、貨物列車が次々に現れます。


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セメリンクトンネルを飛び出してきたrailjet



専用塗装の1116型機関車による7両編成の専用固定編成のプッシュプル運転です。
オーストリア国鉄ではタウルスの愛称を付けた1116型を大量増備しています。電源使仕様によっていくつかのバージョンがありますが、railjet用以外にもどこででも目にする存在になっています。


さて、そろそろ駅を出てハイキングを始めましょう。


(続きます)
長くなりますがお許しください。
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ひでほ

古い気動車は本線とつながっているのでしょうか?
なんだか気になります。
by ひでほ (2013-06-13 00:02) 

やまびこ3

ひでほさん
ご質問に答えるため、写真を追加しました。
気動車は完全にホームに持ち上げられている状態です。

by やまびこ3 (2013-06-13 21:35) 

あおたけ

オーストリアの鉄道旅、日本ではなかなか乗る機会がない、
コンパートメントに乗ると、気分も盛り上がりますよね。
世界遺産のセメリンク鉄道の訪問とは羨ましいかぎりです。
1144型機関車がいかにも欧州スタイルでいいですね〜。
保存されている気動車もいい味出しています。

1116型の「Railjet」はやっぱりカッコいいなぁ・・・
ところで、「Railjet」は機関車のプッシュプル運転ではなく、
機関車と反対側の先頭車は、機関車の遠隔操作が可能な
制御客車だと思いましたが・・・
スイスに乗り入れる編成とは、違うのかな?
by あおたけ (2013-06-14 20:06) 

やまびこ3

あおたけさん
こんにちは。セメリンクもトンネルを掘る計画があるので、一度行ってみたかったのです。
オーストリア国鉄のタウルス・シリーズの機関車、大増殖していまして、既に過半数を超えているように見えました。が、やはりrailjet塗装がかっこいいですね。プッシュプルは推進運転の意味で書いています。(Wikipedia)
おっしゃるように反対側は機関車と同一の意匠の制御客車です。スイスやフランクフルトにも乗り入れ。推進運転でも230Km/hでかっ飛ばしています。
by やまびこ3 (2013-06-14 21:21) 

サットン

風情たっぷりの峠の駅ですね。古いトンネルからRailjetが飛び出して来る風景はさながら旧逢坂山トンネルとサンダーバードとの組み合わせのようなものでしょうか。
コンパートメントには憧れますね! かつてスイスのICに乗ったとき、長大編成の端っこに連結されたコンパートメントまでわざわざ歩いて行ったことを思い出します。でも、ヨーロッパでも開放席が主流になっているんだとか・・・・。
by サットン (2013-06-19 20:48) 

やまびこ3

サットンさん
セメリンクの街とはかなり離れていて、静かな山の中の駅ですが、待避線も長く貫録十分のセメリンク駅です。
railjetもコンパートメントは1等より上のビジネスクラスだけになったようです。確かに落ち着きます。
by やまびこ3 (2013-06-19 22:54) 

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