オーストリア旅行記(その7 ドナウ川に沿って2) [やまびこ(旅日記)]
オーストリア旅行記(その7 ドナウ川に沿って2)
Linzで観光、電車も少々
Melk駅に戻り、Linzに向かいます。
今度はRegional Expressに乗ります。日本だったら快速電車に相当する列車です。
Wienからやってくるこの列車はさすがに単行気動車の訳はなく、4両編成の2階建て客車でした。機関車による推進・牽引運転のこのシリーズの車両、”Wiesel"という愛称がついています。”Wiesel"とはドイツ語でイタチのこと。どこがイタチなんだかわかりませんが、すばしっこく動き回るイタチのイメージから付けられたのかも知れませんね。
電気機関車牽引でやってきたイタチ列車
イタチ列車に使われる2階建て客車
通勤にも使われる2階建て電車ですが、こちらの車両はゆったりしています。東日本のE231系のグリーン車より全然すわりごこちがいい。こちらはホームが低いので、階下部分がちょうどホーム面の高さになり、この部分に出入り口を設けて自動的にバリアフリーに対応しているのも気が利いています。
かって、ドイツ東部あたりではかなりつめこみ設計の2階建て客車が走っていましたが全然別物になっています。
ゆったりした2階建て客車の階段部分
この部分は横向きの座席が配置されています
Amstattenで後続のICに乗り換え。Linzはすぐです。
Melk(1226)-[REX1618]-(1253)Amstatten
Amstatten(1300)-[OIC864]-(1330)Linz/Donau Hbf
途中、Ybbs/Donau でドナウ川にぐっと近づくポイントがあるのですが、とうとうと水をたたえた川は流れているというより、あふれんばかりの勢いいです。
ドナウ川の流れは・・・
っていうか、もうあふれてるし
水田ではないですよ
近代的な装いのLinz駅に到着。
雨はしとしと、ここにきて東に向かう長距離列車の遅れが目立ってきましたが、列車はいっぱいあるので気にせず、観光に向かいます。
Linz駅は近代的な駅舎になっていました
Linzには路面電車があるので駅前をきょろきょろしてみますが、見つからず。なんと駅地下にターミナルができていました。ここでは24時間きっぷを購入。
自動販売機で購入すると買った時間から市電・市バスに24時間有効というものですが、3回乗ると元が取れる価格です。いちいち切符を気にしなくて良いのは助かります。Linzには市電に乗り入れているペストリンクベルク登山電車もあり、こちらとのジョイント切符もあるのですが、この天候ですのでやめておきました。
さっそく電車に乗って、旧市街へ。
すぐに、検査員によるチケット検査がありました。ドイツやオーストリア、スイスの都市交通では、改札はほとんどなく、このような抜き打ち検札でもし有効なチケットを持っていないとかなり高額の罰金を請求されることになります。(大体1万円オーダーときいています。)
このようなシステムである程度の収益確保をしているわけです。この方式ですとすべての扉を乗降に使うことができて、停車時間の大幅短縮が可能になるし、連接車や連結運転を行えば運転手の生産性も大幅に上げることができそうですが、100%の収入を補足することは難しいらしく、基本的に行政による補助がない日本では難しいと考えられているのでしょう。
さて、旧市街のTaubenmarktで下車し、写真を撮りながらHaupt広場に移動します。
この周辺の旧大聖堂、州庁舎を見物。
目抜き通りをゆく連接車
ハウプト広場をゆく新型連接車
市電は900㎜の狭軌なのですが、ボンバルディア社のフレキシティ・アウトルックというタイプの7車体4台車の超低床車がバンバン走っており、台車周りがどうなっているかちゃんと見てくれば良かったと思います。
通路はそれほど狭く感じませんでしたが、不思議です。
ハウプト広場のターミナルに乗り入れるペストリンクベルク登山電車
こちらもボンバルディア製の3車体連接車
広場の中央にペストリンクベルク電車の始発駅がありました。
なかなか近代的で軽快な電車がやってきては、お客を乗せて出発してゆきます。この登山電車、もとは1000㎜ゲージだったのを市電に乗り入れるために、市電の900㎜ゲージに合わせる改軌を行ったという仰天乗の歴史を持っています。それも21世紀になってからのことです。
ペストリンクベルク登山鉄道の方ですが、新型車に交じって、古典的な車両が入ってきました。
こんなのも残っていたとは知りませんでした。改軌した時に台車を改造したのですかね。
ペストリンクベルク登山鉄道の古典電車現る
こんな電車が走っているなら乗ってみればよかったんですが、雨が激しくて山まで行くのは気が進みません。
州庁舎の建物はルネサンス風
こちらはこじんまりした旧大聖堂
立派な大聖堂のステンドグラス
帰りがけに大聖堂を見学して、Linz地下駅に戻り、ウィーンに帰ることにします。
では、路面電車写真を少しご覧ください。
レールの幅が狭いのがわかるでしょうか
駅に戻ると、ウィーン方面の東行きは軒並み20~30分の遅れで動いていましたので、発車間際のRailjetに飛び乗ります。GGFの空席に座って帰ることにします。
Linz/Donau Hbf(1608)-[RJ79]-(1724)Wien West Bahnhof
15分遅れで出発
相変わらず、雨が続いており、わずか2時間ほどの間に周辺の水位はますます上昇したようです。
ところどころ、道路が水没してしまっています。土嚢が積み上げられて消防団のような人々が川(のようになったところ)を眺めて集まっている様子も見られました。
車内の日本人旅行者に聞くとザルツブルグにいたが、あきらめてウィーン戻るとのこと。
先行きが不安になります。
大洪水の様相を呈してきました
遅れが増すかと思ったのですが、周囲が水浸しにもかかわらず、快走が続きます。
よほど路盤がしっかりしているのですね。車内の掲示板にはついにこの列車の最高速度の230Km/hを越える231Km/hが表示されました。東行きは推進運転なのですが、railjetは双方向に230Km/hを許容しています。
ところで、この1116型電気機関車、ジーメンス製のVVVFですから、発車するときに例の「ピロピロピロピー♫」という通称ドレミファ音がするんですよ。京急のとは多少違いますが、この強力な機関車が「ピロピロ~」と軽やかに走り出すのは面白いもんです。
ウィーン西駅に帰還
西駅にはもう一つ見ておくべきものがあります。
Bahnwestの2階建て電車
鉄道版のLCCです。
日本でいうところの第二種鉄道事業を行う、低コストキャリアで、ウィーン‐ザルツブルグ間を25ユーロで乗れる電車です。これも一度乗ってみたい。
(続きます)
リンツの市街地まで乗り入れてくる登山電車、
特に古いタイプは味があって、いい電車ですね(^^)
どこの国でも、今や低床式の連接車が主流になりつつありますが、
こういう電車は残して欲しいものですよね〜。
そしてRailJetの1116型電機、
私もチューリッヒで発車してゆくところを眺めていて、
あのドレミファインバータ音が聞こえてきたときには、
あまりの違和感に驚いてしまいました(^^;)
それにしてもスゴい豪雨ですね・・・
この先の旅程は大丈夫だったのでしょうか・・・。
by あおたけ (2013-06-25 19:48)
こうして現在の連接車を見ていると、札幌市電のA820あたりが、走って居ても違和感がなさそうですね。
1編成位とっておいて欲しかったぁ~
by suzuran6 (2013-06-26 15:48)
イタチは日本では決して良いイメージではありませんが、彼の地では
違うんでしょうね。イラストまで描かれていますから。
ヨーロッパでは比較的人口の少ない都市でも長編成の路面電車を
見かけますが、それだけの需要があるんでしょうかね?
by サットン (2013-06-26 19:43)
あおたけさん
リンツの市電ともども900㎜ゲージながら大活躍しています。
登山電車の旧型車の巨大なパンタグラフも今や懐かしい感じがしますね。ドレミファ音♫の1116型は4軸ですが出力は6400Kwもあり、JRではEH500でも定格4000Kwですから、ヨーロッパの機関車は強力です。
by やまびこ3 (2013-06-26 20:42)
suzuran6さん
札幌市電の連接車もヨーロピアンスタイルなどといわれたりしましたね。
後ほど出てくる別の地方都市の路面電車の旧型のほうはよく似た雰囲気でした。
by やまびこ3 (2013-06-26 20:48)
サットンさん
ドイツ語圏ではイタチはスピーディーなイメージなのかもしれませんね。
混雑については、ヨーロッパでは日本の同程度の人口の都市と比べて人の移動が圧倒的に頻繁に起こっていると感じています。
しかし、日本のようにぎゅうぎゅう詰の電車やバスは見たことがありません。ウィーン市内のバスも幅が広くてゆったりしていました。
by やまびこ3 (2013-06-26 22:00)