夕暮れ撮影会・前記 [はつかり(鉄系)]
夕暮れ撮影会・前記
2015.11.7 青森の保存気動車たち
青森県の過去帳入りした鉄道として、「南部縦貫鉄道」というのをご存知の方も多いでしょう。壮大な名前ですが、青森県の東部、七戸と野辺地の間わずか20.9kmを結んでいたローカル鉄道で、戦後の産業復興を担うべく砂鉄の輸送をもくろんで建設され、1962年に開業した比較的新しい民鉄でしたが、砂鉄を使った製鉄所の計画はあえなく挫折、細々と旅客営業と農産物の輸送を行っていました。
結局1997年に休止後、2002年には正式に廃止となってしまいました。
晩年は珍しいレールバスの走る路線としてファンには知られた存在となっていました。
鉄道会社は「南部縦貫」として存続しタクシーなどを営んでいるようですが、鉄道施設の方は、NPO法人の「レールバス愛好会」が実質的な管理活動を行っていて、大体年2回の公開(車両を引き出しての展示)を行っています。車庫の見学は冬季をのぞく土休日には可能となっているようです。
この愛好会のイベントで、晩秋の恒例行事となっているのが、「夕暮れレールバス撮影会」。
昼の間に研修施設から引き出しておいたレールバスをホームに横付けし、夕刻から照明をこらしてファンに撮影してもらおうという施行です。3年前のイベントの模様はそねブロ仲間のあおたけさんがレポートされており一度は行ってみたいと考えていたところでした。
その「夕暮れ撮影会」が今年は11月7日に行われました。
ちょうど「大人の休日パス」の期間中じゃあないですか!
2週続けての青森遠征となりますが、ここは行くっきゃないでしょ!
長野方面にでも行こうかと、もごもご考えていたのですが、日帰り南部遠征!
計画変更であります。
<かなりボリュームがあるので3回ぐらいに分けてお届けしたいと思います>
というわけで早朝の東京駅にやってまいりました。
イベントは昼過ぎからの開催なので、12時前に着けるこのパターンが都合がよい。
東京(736)-[はやぶさ3号]-(1044)七戸十和田
朝の東京駅
4両の流線型が顔を突き合わせているのは壮観です
朝飯代わりにこれ↓
「山形日和 ふるさと弁当」 米沢駅 松川弁当部
2015.11.7 東京駅”祭” ¥1100
なぜか東京駅で山形の駅弁を
東北の田舎料理がメインのようですよ
さて、天気がはっきりしない中、3時間ほどで七戸十和田駅に到着。
七戸十和田駅から三本木に向かう十和田観光電鉄のバスに乗ると七戸に着けるわけです。新幹線駅は十和田観光電鉄の鉄道線や南部縦貫鉄道との交点ではなく国道4号線との交点付近に駅を作ったのも時代と言えばそうなんですが、十和田観光電鉄など残す道はなかったかなあと思うのであります。
天井がウェーブする七戸十和田駅に到着しました
駅周辺には何にもありません
駅前広場の周りは高い建物はな~んにもありません。が、巨大なイオンのショッピングセンターが隣にたっており何とも場違いな感じ。意外にもこの駅で下車する乗客は多く3,40人は下車したように見えました。
さらに路線バス乗り場に20人近くの行列ができていて、ゲゲゲっでございます。
十和田湖へのシャトルバスが来て観光客数人が乗っていったものの、国際興業色の十和田観光バス三本木行きには十人以上が乗車。一見してテツとわかる人もいますが、観光客風の人も多く、いぶかっていますと、口々に「現代美術館に行きますか?」との声。
な~るほど、十和田市現代美術館というのがあり、大休世代には美術館めぐりも人気なのですね。
三本木営業所行きの国際興業バス十和田観光電鉄バス
よく見るとこのバスは南部縦貫鉄道の始発地であった野辺地から来たクルマでした。
10分ほどで七戸町の中心地に入り、七戸案内所で下車します。
七戸案内所をうろうろ
このバスできた同業者は5人と分かりました
建物を取り囲んでうろうろしている仲間をしり目に、勝手知ったるやまびこは七戸駅を目指します。
といっても30何年振りですが・・・
3分ほど行った高瀬川の橋を渡るところからはもうめざす南部縦貫鉄道の七戸駅舎が見えてきます。
高瀬川を渡ります
南部縦貫鉄道の旧七戸駅につきました。
20Kmのミニ鉄道にしては壮大な建物です
壮大な名前の鉄道にぴたりです
雄大稀有な名前でございます
12時から開始ということですが、すでに物品販売や運転関係のスタッフも集まり、ファンの数もちらほらといったところ。
保存会の女性スタッフが、インスタントのセルフながらコーヒーも用意してくださり寒い中、おいしくいただきました。そんななか、夕暮れ撮影会に向けた照明のセッティングが始まりました、電線を引き回し照明設備を取り付けてゆきます。
七戸駅の構内は2面2線のホーム(本屋に面した1番線と構内踏切を越えた
2番線)と、3線ある車庫への出入庫線があり、こちらは
3、4、5番線と呼ばれています。
12時過ぎ、12時30分に車庫の扉を開けてキハ101から出場させるというアナウンスがあり、それぞれ撮影ポイントに散らば会ってその時を待ちます。この時点で、参加者は20人ほどとこじんまりした撮影会が始まりました。
庫内の様子は見えませんが、時折ディーゼルの唸りが大きくなり、庇の下から紫の煙が吐き出されるようになって、わくわくしますよ。
時間になりました。
まず5番線部分の扉が開かれて、レールバスのキハ101が引き出されます。
もちろん、自走して車庫から出てきます。
(以下のビデオはPC専用です。)
再生できない場合、ダウンロードは🎥こちら
レールバス・キハ101出場シーン
1分ほどです。音が出ますので注意
バスそっくりのタイフォンを鳴らしてスムーズに走り出したレールバスは野辺地寄りの引き込み線まで行ってポイントを切り替え、戻ってきて2番線のホーム部分にいったん止められました。
1962年の富士重工製ですが、完璧に整備されたエンジンは現役時代さながらですわ。
[キハ101出場シーンを分解写真のように再現]
奥の5番線前の扉があきました
お~、走りだしました
横から見るとバスそのもの
紫煙を残して引き上げ線へ
野辺地方の引き上げ線に入り、ポイントを切り替えて戻ってきます。
このあたりはファンも少なくわきあいあいと
結構なスピードで戻ってきました\(^-^)/わ~い
腕木式信号機が生き残っています
2番線に据え付けられました
この後キハ101はさらに進んで、構内踏切の先の部分で車内の見学もできるようになりました。
続いて、キハ104が引き出されます。
今回の撮影会の目玉は実はこれで、これまで長く静態保存されていたようですが、スタッフの奮闘により走れる状態に戻されたということで、今回は走行シーンも見られるというわけです。
キハ104は南部縦貫鉄道では同じキハ100型ですが、もともとは国鉄のキハ10という国鉄のごく初期のディーゼルカーで1980年代初めには国鉄から消えたのではないかと思います。運転台の数や便所の有無などでキハ10、11、16、17など各種のタイプがあるのですがここにあるのは両運転台のキハ10。
1980年に導入された南部縦貫のキハ104は、需要の多い通学時間帯に重宝されたと聞きましたが休止が近くなった頃は線路の傷みもひどく、重量のあるこの車両はほとんど使われなかったそうです。
いまやキハ10系気動車で稼働状態なのはまさにこの1両だけになったのではないかと思います。
再生できない場合、ダウンロードは🎥こちら
キハ104出場シーン
30秒ほどです。音が出ますので注意
続いて
再生できない場合、ダウンロードは🎥こちら
キハ104走行シーン
キハ104も引き出され同じように2番線ホームに移動してきて見学会の位置に来ました。
扉が開いて顔を出したキハ104
カラカラと軽快なアイドリング音から豪快な回転音になりました
こちらも懐かしいバス窓ですね
折り返してきて2番線に入ります
2番線に据え付けられました
さらに今度は4番線の扉が開かれ、キハ102がお目えです。続いて3番線からDB101というディーゼル機関車(実際は保線用のモーターカーといった方がいいようですが)がラッセルヘッドを付けて登場。こちらは冬場の除雪用に使われていたものです。
キハ102が登場
4番線の車庫前に留置されます
構内はこんな様子です
DB11がラッセルヘッドを広げて配置につきます
これらの2両は車庫の前で公開されました
しばらくの間、キハ101時は104の車内を含む見学タイムとなりました。
<続きます>
今年は「大人の休日倶楽部」を利用できませんでした(ノ_・。)
それにしてもユニークな車両ですね、初めて見ました。
by johncomeback (2015-11-18 09:53)
鉄道車両の保存って、どんな短い距離でも走らせてナンボですね。
すばらしい。
by Cedar (2015-11-19 02:02)
johncomebaskさん
南部縦貫鉄道のレールバスは北海道や青森に行くときに野辺地の駅の構内にポツンと止まっているのを何回も見かけました。乗車したのは1回だけになってしまいました。北海道のローカル線ではキハ01、キハ03などのレールバスが使われていましたが、短い期間で廃止になってしまいましたが、小樽に1両保存されています。国鉄のに比べるとこちらのは一段とバスっぽいですね。
by やまびこ3 (2015-11-19 19:43)
Cedarさん
全くその通り、ここの場合は、南部縦貫の社員のほか、JR弘前運輸区とか下北交通の保存スタッフとも協力関係にあるようでした。電気車両の動態保存ももっとあるといいんですがねえ。
by やまびこ3 (2015-11-19 20:19)
お!南武縦貫の撮影会、
今年はキハ104も登場したのですね!
レールバスもカワイくていいですが、
このバス窓のキハも貴重なんですよね〜。
私が訪れた時は展示されなかったので、
羨ましいです(^^)
by あおたけ (2015-11-20 19:11)
あおたけさん
そう、バス窓の一般気動車の走行シーンを見られたのが大収穫でした。
動画を見てもらうとこいつが煙を吐いて踏ん張る様子が見ていただけて楽しめると思います。
下北交通でも保存されている気動車を見に行ってみたくなってきました。
by やまびこ3 (2015-11-21 11:47)