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相模線つながりで・・・・1984 別府鉄道 訪問記 [はくつる(なつかし鉄)]

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相模線つながりで・・・・別府鉄道 訪問記



84年1月 別府鉄道訪問記

相模線の昔の写真を探していたら、その時期のフィルムが出てきました。
関東の皆さんにはなじみがないでしょうけど、関西に縁のある人には、山陽本線の加古川近くの土山駅から出ていた小さな私鉄のことを覚えている方もいるのではないでしょうか。

84年、年明け、592といわれた、国鉄貨物輸送への大ナタの直前、各地で地方路線、地方私鉄の大変動が始まっていました。国鉄の貨物輸送は超大赤字でしたが、地方のローカル私鉄にとっては単価の高い貨物輸送は実は大きな収益源になっていたのでした。
しかし、国鉄改革によって国鉄の中小駅の貨物取り扱いは軒並み中止、私鉄の貨物輸送は壊滅への道をたどるのでした。
山陽地区の工場への原材料や化成品の輸送でつないでいた別府鉄道も1月末で鉄道の廃止が決まってしまいました。
いつも金欠だったやまびこは、20系「銀河」のハネで出発。(新幹線より安かった。)
大坂から神戸三宮に回って、まだ行ったことがなかったポートライナーに試乗。

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中公園から神戸大橋方面を見る
まだAGTがまだ少なかったころです


さあ、別府鉄道に向かいましょう。九州の別府ではありませんよ。新快速、快速を乗り継いで加古川まで、別府鉄道は山陽線の土山から海岸沿いの工場地帯にある別府港への土山線と、加古川から出ていた国鉄高砂線の途中駅野口と別府港を結ぶ野口線が営業していました。


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別府鉄道路線図


新幹線や山陽電鉄が走っているように田舎というより近郊住宅地といった場所で、住宅地と農地が混在している風景でした。


野口線は当時すでに旅客専用になっていて1日10往復ほどの気動車が運行、土山線の方は貨物が主体なのか、貨物列車のほか、小型客車をつないだ混合列車がわずか4往復の運転となっていました。
時刻の都合でまずは野口へ。加古川線に並行して北側に出ている高砂線(現在は廃止になっています。)は、山陽本線をオーバークロスして、瀬戸内海に面した高砂まで結んでいました。1つ目の駅が乗換駅の野口。

ここからは別府鉄道の古典的気動車が走っています。この日の稼働はこの車両。

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キハ101
元国鉄のキハ05です



別府鉄道にはバケットの付いたキハ2などの古典車両も所属していたのですが、基本的には予備車になっていました。
終点の別府港は工場地帯の入り口にあたるところ、そもそも、ここに工場を持つ多木化学の輸送のために作られた路線だったようです。


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別府港駅の風景
田畑の広がる工場地帯って感じですか



すでに、葬式鉄が集まっていて普段の雰囲気とは違うのでしょうね。


時間が来ると小型のディーゼル機関車DB201が入れ替え作業を始めました。


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戻りは、混合列車が走る土山線で・・・
混合列車なのでDLが客車を牽きますが、その客車がこれ↓


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ダブルルーフ、オープンデッキ付きの古典客車


1980年代までよくぞ生き残ったものです。
この客車ハフ7、実は相模鉄道の前身、神中鉄道が開業時に導入した客車のうちの1両なのです。相模鉄道1926年製の木造単車が、三岐鉄道を経て各種改造を受けつつ、別府鉄道にやってきました。旧相模鉄道が相模線を開業させたあと、厚木から横浜に向かって少しづつ線路を伸ばしていたのが神中鉄道。その後両社が合併して、神中鉄道となりましたが当初は相模線の方がメインで、神中線の方は細々とこんな客車が走っていたのかもしれません。
その後、戦時買収で相模鉄道が国鉄相模線になり、横浜まで至った神中線が大東急時代を経て相模鉄道となっています。

この日は休日で貨物がなかったようで、DB201がハフ7単車1両をひいて運行するようです。


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お別れ乗車のファンが集まってきました



ごろごろと15分ほど走って、立派な国鉄土山駅に着きます。


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最初で最後の別府鉄道訪問となりました。

現在ハフ7は相模鉄道に里帰りし、修復整備され相鉄のかしわ台に基地に3号蒸気機関車とともに保管されています。バケット付きの気動車の1両も、ふるさとの佐久で保管されています。何両かの機関車、気動車は別府鉄道沿線で保存されているようです。


<お終い>

<追記>
現在書店に並んでいる「国鉄時代66」に佐野嘉春さんの撮られた別府鉄道の素晴らしい記録が掲載されています。走行写真を見たい方は書店で手に取られるとよいです。

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コメント 4

skekhtehuacso

うわ、別府鉄道!
子どもの頃、私鉄全百科(コロタン文庫)で見て、ずいぶんボロい鉄道だなって思っておりました(スミマセン)。
でもこのダブルルーフ車が相模線と関係があったとは、あー知らなんだ知らなんだ!
by skekhtehuacso (2021-07-08 21:21) 

サットン

父方の田舎が姫新線沿線にあったので帰省の度に土山駅を通っていました。
駅の裏手にはいつもオープンデッキ付の古典客車が。まるでそこだけ時間が
止まったような奇妙な光景でした。
2軸客車ってどんな乗り心地だったんでしょう? ジョイントの感触など独特
だったんでしょうね。
by サットン (2021-07-09 23:33) 

やまびこ3

skekhtehuacso さん
こんな鉄道が1980年代まであったことが今となっては信じられないくらいですね。相模鉄道に保管してあるのは見せてもらえるらしいので、いつか行ってみたいと思います。
by やまびこ3 (2021-07-10 22:02) 

やまびこ3

サットンさん
土山駅はこの時期でもかなり立派な駅でしたから、写真にもあるようにそこだけ別世界のような感じでした。かなり低速だったので乗り心地はあまり気にならなかったような気がします。
by やまびこ3 (2021-07-10 22:05) 

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